オトナチック
「でも、出なくていいの?」

もう1度聞いた私に、
「知らない番号には出ない主義なんだ」

杉下くんはもう1度答えた。

「じゃ、改めまして」

杉下くんが両手をあわせたので、私も彼のまねをするように両手をあわせた。

「いただきます」

あいさつをした後、夕飯を食べ始めた。


キュッと蛇口を閉めると、水滴がついた手をぬぐった。

夕飯の後片付けの担当は私だ。

これは最初の日に私が自分からやりたいと杉下くんに頼んだことだ。

そう言って頼んだ私を杉下くんはそこまでやらなくていいと言って断った。

だけど、住むところが決まるまで私は杉下くんの家で居候をすることになっている。

せめて家の手伝いだけはさせて欲しいと頭を下げた私に、杉下くんは渋々だけど首を縦に振ってくれた。
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