オトナチック
その結果、朝ご飯の後片付けは杉下くん、夕飯の後片付けは私がやると言うことで話は落ち着いた。

杉下くんはソファーのうえで新聞を読んでいた。

「杉下くん、後片付けが終わったよ」

そんな彼に向かって私は声をかけた。

「そうか」

視線は新聞に向けたまま、杉下くんは返事をした。

「風呂わいてるから先に入ってこいよ」

そう言った杉下くんに、
「じゃあ、お言葉に甘えて」

私はリビングを後にすると、自分の部屋へと足を向かわせた。

バスタオルと下着とパジャマを手に取ると、今度はバスルームへと足を向かわせた。

パタンとドアを閉めると、私は息を吐いた。

「――何だか変な感じ…」

そう呟いた後、目の前にある鏡に視線を向けた。

当たり前だけど、そこに映っているのは私だった。
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