オトナチック
「――これが、和泉があなたに隠していた全てのことです」

おばあさんが言った。

「――はい…」

私は首を縦に振ってうなずいた。

私たちの間に沈黙が流れた。

それを破ったのは、
「ばあちゃん、緑茶買ってきたよ」

病室に入ってきた杉下くんだった。

杉下くんは緑茶のペットボトルを見せると、
「自販機にも売店にもなかったから、ここから2つ先のコンビニで買ってきた」

おばあさんに渡した。

「わざわざありがとうね、和泉」

おばあさんはお礼を言うと、杉下くんの手から緑茶を受け取った。

それに対して、杉下くんは嬉しそうに微笑んだ。
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