オトナチック
6・口は災いの元
あれから数日が経った。

会社では同僚、家では同居人と、私は上手に杉下くんと関係を築きあげていた。

これでいい。

これでいいんだ。

私は自分に何度も言い聞かせながら、杉下くんと接した。


その日の夜は、いつも通りのはずだった。

杉下くんはお風呂、私はソファーに座ってバラエティー番組を見ていた。

――プルルルルル…

鳴り出した電話に私はソファーから腰をあげると、電話の方へと足を向かわせた。

子機を手に取ると、
「もしもし?」

私は言った。

「杉下さんのお宅ですか?

こちら…」

電話越しに聞こえた慌てた声に、私は自分の顔から血の気がひいたのを感じた。
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