オトナチック
私の頭の中で、グルグルとそんなことが回っている。

黙って見つめている私に、
「今は…いろいろなことがあり過ぎて、どうすることもできないんだ。

いろいろと考えたいから、時間が欲しい」

杉下くんが言った。

考えたら、返事をくれるの?

何より、ことが終わるまで待てばいいの?

そう思ったら、
「――うん…」

私はようやく、返事をすることができた。

「ありがとう」

杉下くんは笑った。

その“ありがとう”は、どんな意味がこめられているのだろうか?

「戻るぞ」

杉下くんが背中を見せて歩き出したので、私も後を追うように歩き出した。
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