オトナチック
7・嫌われたっていいと思った
おばあさんの容態がようやく安定したのは、明け方近くになってからのことだった。

私たちは病院を後にすると、始発の電車で家に帰った。

家の中に入ると、
「――よかった…」

杉下くんは呟くと、ソファーのうえで横になった。

「うん、よかったね」

私は言い返すと、床のうえに腰を下ろした。

そのとたん、杉下くんの方から寝息が聞こえた。

顔を覗き込んで見ると、杉下くんは眠っていた。

私は自室からふとんを持ってくると、それを眠っている杉下くんの躰にかけた。

「おやすみ、杉下くん」

一晩中起きていたから、今になって眠気がどっときてしまったのだろう。

冷蔵庫の横にしまっていたテーブルを取り出して組み立てると、ソファーの横に置いた。

杉下くんの顔にかかっている眼鏡を外すと、それをテーブルのうえに置いた。
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