オトナチック

１・利害関係の一致

高浜芽衣子（ﾀｶﾊﾏﾒｲｺ）、２５歳。

老舗飲料メーカーに勤めて今年で３年目になる。

ロクに就職活動もせずにこの会社に決めたのは、高校時代からつきあっている恋人がいるからだ。

ある程度の年齢になるかならないかで彼と結婚して家庭を持つだろうと、そう予想していた。

だけど、その予想は大きな音を立ててくつがえされた。


「――何ですって…？」

そう聞き返した私の声は、自分でもわかるくらいに震えていた。

「だからさ、好きな人ができたんだよ」

目の前にいる彼はそう返した。

「はあっ…？」

何なのよ、それ。

信じられない事実を突きつけられた私に追い打ちをかけるように、
「だからさ…」

彼が言った。

「出て行ってくんねえ？」