オトナチック
「無理なんてしてないわ」

私は首を横に振った。

「同僚なら助けあうのは当然のことでしょう?

私はおばあさんのために孝行してあげようとするあなたを助けたいって思ったから」

そう言った私に、
「そうか」

杉下くんは呟くように返事をした。

「それで、私はいつまで杉下くんの婚約者を演じればいいの?」

そう聞いた私に、
「長くても、ばあちゃんが亡くなるまでだな」

杉下くんは答えた。

「うん、わかった」

首を縦に振ってうなずいた私に、
「本当に、無理しなくてもいいんだぞ?」

杉下くんが確認をするように言った。
< 23 / 326 >

この作品をシェア

pagetop