オトナチック
映し出された画面にはこの間リストアップした名古屋にある大きな病院の名前がズラッと並んでいた。

「タイムリミットは3日だ。

そのうえ、有給休暇の理由が理由だからなおさらだ」

杉下くんはやれやれと息を吐いた後、スマートフォンをチェスターコートのポケットに入れた。

「おばあさんの手術のつきそい、だったよね?」

彼の有給の理由を言った私に、
「正直、身内を言い訳に使うのは胸が痛い」

杉下くんは苦笑いをした。

「高浜は確か…」

「私は家族旅行って言ったわ。

事実、旅行にきているようなものだから」

そう答えた私に、
「ああ、そうだったな」

杉下くんは納得をしたと言うように首を縦に振ってうなずいた。

2人同時に有給を取るのが今回が初めてだから社内の人間は何も思わないかも知れないけど、念のためお互い違う理由で有給の申請をした。
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