オトナチック
「お待たせしましたー。

わらじとんかつ定食と鉄板とんかつ定食です」

店員がメニューを運んできた。

私の前にはわらじとんかつ定食、杉下くんの前には鉄板とんかつ定食が置かれた。

「じゃ、食うか。

ホテルには20時にチェックインすることになっているんだろ?」

杉下くんが割り箸を私に差し出した。

スマートフォンで時間の確認をすると、19時を過ぎたところだった。

「杉下くんってさ」

杉下くんの手から割り箸を受け取ると、私は話しかけた。

「優しいね」

「――ッ…」

そう言った私に、杉下くんは手を口に当てた。

「…バカを言うな、冷めるぞ」

「うん、いただきます」

両手をあわせてあいさつをした後、割り箸を割った。
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