オトナチック
彼の“和泉”と言う名前には、そんな由来がこめられていたんだ。

そう思っていたら。
「そう言えば、高浜の“芽衣子”って言う名前にも何か意味があるの?」

杉下くんが聞いてきた。

「えっ、私?」

人差し指で自分を指差して聞き返した私に、
「俺も教えたんだし、ついでに高浜の名前の由来も知りたいなって思って」

杉下くんはそう言って笑った。

「由来か…。

私の名前は、父方のおじいちゃんがつけてくれたんだよね」

初めてできた孫だからと言うことで、おじいちゃんが自分でつけたいと言ったのだそうだ。

「最初は命の子って書いて、“命子”にする予定だったんだって」

私はお冷やについている水滴を指先につけると、テーブルのうえに“命”と言う字をかいた。
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