オトナチック
「へえ、なかなかいい字じゃん」
杉下くんがテーブルのうえの“命”の字を見ると、そう言った。
「でもお父さんとお母さんが恥ずかしいからって言う理由で反対して、当て字にするような形で今の名前にしたって言ってた。
そのせいで画数が多くなったから、学生の頃は名前を書くのが大変だった。
友達との手紙のやりとりもカタカナで“メイコ”って書いていたくらい」
そう言って笑った私に、
「ひらがなで書くのはまだわかるけど、何でカタカナなんだ?」
杉下くんが不思議そうに聞いてきた。
「カタカナの方がかっこよかったから。
何より、書くのが楽だったし」
私は笑いながら杉下くんの質問に答えた。
「俺はそう思わないけどな。
さっきの命の子って書いて“命子”って言うのもかっこよかったけど、俺は今の名前の方が好きだよ」
そう言った杉下くんに、私の心臓がドキッと鳴った。
好きと言ったのは私じゃなくて、名前だってば。
杉下くんがテーブルのうえの“命”の字を見ると、そう言った。
「でもお父さんとお母さんが恥ずかしいからって言う理由で反対して、当て字にするような形で今の名前にしたって言ってた。
そのせいで画数が多くなったから、学生の頃は名前を書くのが大変だった。
友達との手紙のやりとりもカタカナで“メイコ”って書いていたくらい」
そう言って笑った私に、
「ひらがなで書くのはまだわかるけど、何でカタカナなんだ?」
杉下くんが不思議そうに聞いてきた。
「カタカナの方がかっこよかったから。
何より、書くのが楽だったし」
私は笑いながら杉下くんの質問に答えた。
「俺はそう思わないけどな。
さっきの命の子って書いて“命子”って言うのもかっこよかったけど、俺は今の名前の方が好きだよ」
そう言った杉下くんに、私の心臓がドキッと鳴った。
好きと言ったのは私じゃなくて、名前だってば。