オトナチック
「どうかしたの?」

後片付けを終えた私は杉下くんに歩み寄った。

杉下くんは青い顔をしていた。

「――父さんが…」

杉下くんがそう呟いたので、
「えっ?」

私は聞き返した。

お父さんが、何?

「お父さんがどうかしたの?」

そう聞いた私に、
「――父さんが、亡くなったって…」

震える声で杉下くんが答えた。

「ええっ…!?」

お父さんが亡くなったって…。

「おとといの夜から容態が悪化して、たった今息を引き取ったって言う連絡があった…」

杉下くんは倒れ込むように、ソファーのうえで横になった。

「杉下、くん…?」

呟くように名前を呼んだ私に、
「――ッ…」

杉下くんは私から目をそらすように、うつ伏せの姿勢になった。
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