オトナチック
当日、おばあさんのお見舞いに行く日を迎えた。

「結局、手ぶらできちゃった訳だけど…」

病院はすぐ目の前である。

手みやげをどうしようかと考えていたら、あっと言う間に当日を迎えてしまった。

その結果、手ぶらでお見舞いにきたと言う状況である。

「仕方ないか…」

きてしまったものは、仕方がない。

おばあさんにちゃんと謝ろう。

そう覚悟を決めると、病院の中へと足を踏み入れた。

病室に顔を出すと、おばあさんはベッドのうえで本を読んでいた。

元気そうだ。

病室の中に足を踏み入れると、おばあさんがいるベッドへと歩み寄った。

「こんにちは」

声をかけた私に、おばあさんが本から顔をあげた。
< 275 / 326 >

この作品をシェア

pagetop