オトナチック
顔を洗い終えると、ポーチからブラシを取り出してボブの黒髪をとかした。

髪をとかし終えると、今度はファンデーションを薄めに塗って、程よくマスカラをつけた。

ピンク系のルージュを唇に塗れば、メイクの完成である。

メイクが終わると部屋に戻って、キャリーバックから服を引っ張り出してパジャマから着替えた。

会社では制服の着用が義務づけられているので、服選びには特に困ったことはなかった。

カバンに忘れ物はないかどうかの確認をした後、部屋を後にした。

リビングに足を向かわせると、朝食はすでにできあがっていた。

あれ?

テーブルなんかあったっけか?

昨日見た時はソファーとテレビだけのシンプルなリビングだったはずだ。

なのに、テーブルは一体どこから出してきたのだろう?

そう思っていたら、
「朝飯が冷めるぞ?」

杉下くんに言われて、私はその場に腰を下ろした。
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