オトナチック
「もしもし」

その瞬間、杉下くんの表情が変わった。

何かあったのだろうか?

「…はい、わかりました。

すぐに行きます」

杉下くんはそう言うと、スマートフォンを耳から離した。

「どうしたの?」

そう声をかけた私に、
「――ばあちゃんの容態が急変したって…」

そう言った杉下くんの顔は、ひどいくらいに青かった。

「えっ、ええっ…?」

思わず聞き返した私に、
「とにかく、病院に行ってくる」

杉下くんは腰をあげた。

「あっ、待って!

私も一緒に行くわ!」

思わず口から出てきた私の言葉に答えるように、杉下くんは首を縦に振ってうなずいた。
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