オトナチック
タクシーで病院へ向かうと、駆け込むようにおばあさんの病室へ入った。

「――ッ、ばあちゃん…!」

口に呼吸器をつけて苦しそうに呼吸をしているおばあさんに、杉下くんは駆け寄った。

「――い…ず…み…」

おばあさんは苦しそうに杉下くんの名前を呼んだ。

「そうだよ、俺だよ…」

杉下くんはおばあさんの手を握った。

おばあさんは杉下くんに向かって優しく微笑みかけると、私に視線を向けた。

「――め…いこ…さんも…」

苦しそうに私の名前を呼んだ後、おばあさんは微笑みかけてくれた。

まだ間にあってる…。

そう思ったら、私の目から涙がこぼれそうになった。

「――ばあちゃん…」

杉下くんの声は、震えていた。
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