オトナチック
「いず、み…あなたには、いっぱい…苦労を、かけたわね…」

苦しそうに言ったおばあさんに、
「苦労したなんて思ったこと、1度もないよ…」

杉下くんは首を横に振った。

同時に、杉下くんの目から涙がこぼれ落ちた。

「ばあちゃんさえ笑ってくれれば、俺は何も…」

泣きながら呟くように言った杉下くんに、
「和泉…。

これからの人生は、あなたの好きなように生きなさい…。

今まで苦労してきた分、幸せになって…」

おばあさんがそう言って微笑んだ。

「うん…」

杉下くんは首を縦に振ってうなずいた。

「ばあちゃん、今までありがとうな…。

俺をここまで育ててくれて、ありがとうな…」

杉下くんは泣きながら、おばあさんに感謝の言葉を言っていた。
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