オトナチック
「ばあちゃん!」

杉下くんが叫んだのと同時に、心電図が鳴った。

医者と看護師たちがぞろぞろと病室の中に入ってきた。

「杉下くん」

彼らの邪魔にならないようにするために、私は杉下くんの手を引くと自分のところへと引き寄せた。

「――ッ、くぅっ…」

涙のせいで眼鏡が濡れても構わないと言うように、杉下くんは泣いていた。

そんな彼を見ていたら、私まで涙がこぼれ落ちた。

「杉下くん…」

声をかけた後、私は杉下くんを抱きしめた。

杉下くんは私の腕の中で、子供のように泣いていた。

私も一緒になって泣いた。

「午後7時57分、ご臨終です」

医者の言葉が泣いている私たちの耳に入ってきた。
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