オトナチック
「それから、杉下くん」

名前を呼んだ私に、
「何だ?」

杉下くんが聞いてきた。

「こんなことを言うのもあれかも知れないけれど…」

少しだけ口を閉じた後、
「おばあさんには、わかっていたみたいだよ」
と、言った。

「わかっていたって…?」

訳がわからないと言うように聞いてきた杉下くんに、
「私たちの関係――要は、杉下くんがウソをついていたことに最初から気づいていたって」

私は答えた。

杉下くんは一瞬驚いたと言う顔をした後、
「何だよ…。

ばあちゃんには、全てお見通しだったのかよ…」

パチンと手で額をたたいた。

「当たり前だけど、ばあちゃんには本当に敵わねーや…」

杉下くんはクスクスと笑った。
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