オトナチック
それにしても、本当に疲れたな。

だけど、無事に葬式が終わってよかった。

遺影の中のおばあさんに視線を向けると、彼女は桜をバックに微笑んでいた。

杉下くん曰く、この遺影は3年前におばあさんと近所の公園でお花見をした時に撮影したものだそうだ。

おばあさん、長い間お疲れ様でした。

天国へ行っても、杉下くんのことを見守ってくださいね。

心の中で遺影の中で声をかけた後、そっと両手をあわせた。

「高浜」

杉下くんが声をかけてきたので、私はあわせていた両手を解くと彼に視線を向けた。

「何?」

そう聞いた私に、
「少しだけ一緒にきて欲しいところがあるんだ」

杉下くんは答えた後、微笑んだ。
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