オトナチック
家の中は温かい光と爽やかな空気に包まれた。

「週に１回だけどここにきて、着替えを取りに行ったり、風通しをしたり、掃除をしていたんだ」

杉下くんは部屋のドアを開けた。

「ここがばあちゃんの部屋だったんだ」

部屋の中に足を踏み入れると、杉下くんは先ほどと同じようにカーテンと窓を開けて風通しをやった。

タンスと仏壇があった。

「仏壇に飾ってあるその写真の人、俺のじいちゃんなんだ」

杉下くんに言われて仏壇の方に視線を向けると、眼鏡をかけた中年男の遺影があった。

「じいちゃんは俺が生まれる前――確か、母さんが短大に通っていた時に亡くなったって」

「だから、こんなにも若いんだ…」

私は仏壇の前に腰を下ろすと、両手をあわせた。
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