オトナチック
杉下くんが仏壇の前に骨壷とおばあさんの遺影を置いた。

線香をたいた後、私の隣に腰を下ろした。

「じいちゃん、ばあちゃんがそっちへ行ったよ」

呟くようにそう言った後、杉下くんは両手をあわせた。

正座をしていた脚を崩すと、
「この家さ」

杉下くんは私に話しかけてきた。

「築40年以上の古い家なんだ」

「えっ、そうなの?」

私は家の中を見回した。

外観は古いけど、内観はそうでもないような気がした。

少なく見ても、30年とかそれくらいじゃないかと思っていた。

「父さんと母さんが結婚をした年に家族みんなで住めるようにと言うことで改築したんだって」

杉下くんはそう言った後、
「結局、それは叶わなかったんだけどな」
と、悲しそうに呟いた。
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