オトナチック
四十九日から半年後、私は両親に杉下くんを紹介した。

「ふつつかな娘ですが、どうぞよろしくお願いいたします」

ドラマみたいなセリフを言った後、両親は杉下くんに頭を下げた。

「はい、必ず娘さんを幸せにします」

杉下くんは両親にそう宣言をすると、頭を下げたのだった。

年の暮れに、私は会社を退職した。

「高浜さん、結婚おめでとうございます」

後輩が花束を私に渡してきた。

「ありがとう」

私はお礼を言うと、後輩の手から花束を受け取った。

「杉下、高浜を幸せにするんだぞ」

上司は杉下くんの肩をポンとたたいた。

「はい、約束します」

杉下くんは宣言した。

その日の会社の帰りに、私たちは籍を入れた。

私の名前が“高浜芽衣子”から“杉下芽衣子”へと変わった。
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