オトナチック
「どうすればいいんだろう…?」

何も考えずに、ただ荷物をまとめて出て行ったことを後悔した。

あの時彼に泣いてすがることくらいのことをすればよかったんじゃないかと思う。

だけどそれができなかったのは…面倒くさい女だと、彼に思われたくなかったからかも知れない。

別にもう2度と会うことなんてないだろうから、彼にどう思われても構わないのにな。

「あーあ、本当にどうすればいいんだろう…?」

手の中でコーンポタージュを弄びながら、私は呟いた。

今日は安いホテルの安い部屋で1泊するからいいとして、その後をどうするかだよね。

友達のところは…難しいよね、いつまでもお世話になるって言う訳にはいかない。

幸い、仕事はクビにされていない…けれど、早く住むところを見つけなければ。

そう思った時、
「高浜か?」

誰かが私に声をかけてきた。
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