オトナチック
予想をしていなかった出来事に戸惑っているんだと言うことがわかった。

私だって、まさかそんな風に言われるとは思ってもみなかった。

でもおばあさんは、私を本当に杉下くんの婚約者だと信じている。

孫のことを思って頭を下げているおばあさんに、
「――はい」

私は返事をした。

「和泉さんのことを大切にします。

だから…」

「芽衣子さん」

おばあさんが私の名前を呼んだ。

「そのお気持だけで充分です。

和泉のことを、どうかよろしくお願いいたします」

そう言った後、おばあさんは優しく微笑んだ。
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