オトナチック
杉下くんに連行されるようについて行ったところは、ファミリーレストランだった。

「コンビニに用事があったんじゃないの?」

店員に案内された席に腰を下ろすと、向かいの席に腰を下ろした杉下くんに話しかけた。

「夕飯を買いに行くだけだったから」

杉下くんはそう答えると、私にメニューを差し出してきた。

「決まったら言って」

杉下くんはそう言うと、自分もメニューを広げた。

私は彼に気づかれないように、コートのポケットから財布を取り出した。

今のところ持っているお金は…えーっと、1万円が1枚と1000円札が3枚、後は小銭――特に1円玉が多かった――が財布に入っていた。

この店で1番安いものを頼めばいいかと思っていたら、
「俺が全部出すから」

杉下くんが言ったので、私は彼に視線を向けた。
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