オトナチック
俺が全部出すって…。

「いや、でも…同期とは言え、お金の貸し借りはよくないんじゃないかと…」

呟くように言った私に、
「同期だから助けあうのは当たり前だろ?」

杉下くんが言った。

「それに…会社に勤めているとは言え、今はムダに金を使わない方が身のためだぞ」

そう言った杉下くんに、
「じゃあ、いつか返すから」

私が言ったら、
「返さなくて結構だ。

それよりも、メニューは決まったのか?」

杉下くんにそう言われ、私はメニューを広げた。

「えーっと、ミートソーススパゲッティ…」

「他は?」

「…オニオングラタンスープをお願いします」

注文を言った私に、杉下くんは手をあげて店員を呼んだ。
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