迷 ~これが全てのはじまりだった~
だったらすぐにそこから離れればよかったのに…、
『迷』なんて変わった名前に興味を持った私は何かに導かれるように、そのまま重い扉を押して店の中へと入る。
ジッと立っていても汗を掻くほどの暑い日にも関わらず、店内は驚くほど薄暗くそして肌寒い。
身体がブルッと震えた。
エアコンはついてなさそうなのに、どうしてこんなに肌寒いのだろう?
ここで…、
帰るべきだったのだ。
しかし私の足は、店の中に引き寄せられるように入っていく。