蜜味ヴァンパイア~薔薇の花園~
#4
「貴方がたを逃すわけにはまいりません。」

大和と冬夜が私とひよりちゃんを庇うように、前に立つ。

ルイに『ヴァン』と呼ばれた男は、大和の胸倉を掴むと、いとも簡単に投げ飛ばした。

「うわっ!!」

大和は、地面に叩きつけられた。

「大和!?大丈夫!?」

私は、大和のほうへ行きたかったが、ヴァンがそれを許さない。

そして、私をゆっくりと見たヴァンは、

「ほう?貴方、『ハーフ・ヴァンパイア』なのですね?」

そう言った。

ジリジリと、ヴァンが私に近づいてくる。

すると、

「ハ〜イ。そこまで、そこまで。」

と、割り込んでくる声が‥‥‥‥‥。

ヴァンは、その声を聞いた途端、苦虫を噛み潰した顔になり、

「レイ。邪魔する気ですか?」

そう言った。

私が、声をしたほうを向くと、金髪に深い緑色の瞳をした超美形が立っていた。

だが、私たちは、大和のほうへ駆け寄る。

大和の様子を伺う私たちに、『レイ』と呼ばれた男は、

「大丈夫だよ。たぶん、気絶してるだけだからさ。」

にっこり笑って、そう言った。

そして、クリスとルイのほうへ行き、

「ルイ。今日のところはもう引いてよ。」

そうあっけらかんと言う。

すると、ルイは、レイに近づいた。

「お前は、いつも『邪魔』ばかりするな?」

「別に邪魔してるわけじゃないよ。」

レイは、別段、悪びれてもなく、そう言う。

「今日のところは、レイ、お前に免じて、見逃してやる。だが、次はないぞ。」

そう言い放つと、ヴァンと共に消えて行った。

残ったレイは、私たちとクリスを見ると、今までのにっこり顔とは違う、意地の悪い笑みを浮かべ、

「みんな、大変だねぇ。」

まるで、他人事のように言った。

そして、

「それじゃ、また、会おうね!」

そう言って、ウィンクをすると、その場から消え去った。

それが、私たちの『運命』を変える、ヴァンパイアたちとの『出会い』だった。  






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