蜜味ヴァンパイア~薔薇の花園~
血と薔薇と知られざる想い

【春日編】

「春日、応援してるね!」

ひよりちゃんは、そう言ってくれる。

でも、私は知っていた。

ひよりちゃんが、本当は大和くんのことを『好き』なことを‥‥‥‥‥‥。

だから、私はあえて、牽制する意味で、ひよりちゃんの前で、わざと『大和くんの話』をする。

だって、ひよりちゃんは、これから、いつでも、大和くんと一緒にいられる。

でも、私は『違う』。

もう『限られた時間』しか、大和くんを見れない。

だから、今だけは、誰も大和くんを『捕らないで』!!

私が中庭で、一人、佇んでいると、一人の超美青年がこちらへ来るのが見える。

その超美青年は、ゆっくりと静かに、私のほうへ、ためらいもなく、歩いてくると、私の目の前に立ち、

「ねぇ、君。ちょっといい?」

と、聞いたのだった。

それが、私の『運命』を歪んだものに変えてしまう皮肉な『出会い』であった。
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