蜜味ヴァンパイア~薔薇の花園~
#3
私が、クリスと出逢った数日後。

今度は佳那汰が、『ある者』と出逢うことになる。


「やっべぇ〜、学校に遅れるよ!!」

ボクは、遅刻だけは避けたいと思い、正門ではなく、塀を飛び越えると、バラ園のほうへと走って行く。

今、薔薇は満開に咲いている。

だが、そんなことは、今はどうでもいい。

一刻も早く、自分のクラスの教室へ行かなければ‥‥‥‥‥。


「『ルイ』様。クリスは、一体、今、どこにいるのでしょうか?」

と、長身長髪の黒髪に薄紫色の瞳の美男子はそう言った。

すると、金色に輝く髪に深い蒼の瞳をしている、類い稀な美しい容貌の青年が振り返り、深く冷笑を浮かべると、

「フフッ。『ヴァン』。クリスの居所は大体、見当がついてる。」

そう答えた。

「それでは、手下の者を呼び、早速、クリスの元へ‥‥‥‥‥。」

そう言った、ヴァンを、ルイは手で制した。

「クリスのことは、まぁ、後でもいいではないか。時間はたっぷりとある。」

さらに深く冷笑を浮かべたルイの視線の先には、慌てて走る佳那汰の姿があった。

「ヴァン!!サングラスをかけろ!!」

ルイは、ヴァンにそう命令した。 











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