身分違いの恋
もしも彼らが紳士であるならば、女性の体にはみだりに触れたりはしないはずだもの。
私は掴まれた腕を弾いた。
カーティス様以外に触れてほしくない。
お願いだから、放っておいてちょうだい。
一度は弾いたはずの手は、けれどまた伸びてきて、今度はさっきよりもずっと強い力で掴まれた。
「離して!!」
身を捩り、拒絶するも、手は振りほどけない。
「威勢がいいな」
男性はにたりと薄気味悪い笑みを浮かべ、嫌がる私を見下ろしている。
そうして私ははじめて彼らの容姿に目が入った。
男性二人の肌はどこか浅黒く、仕草といい雰囲気といい、とても陰気くさい。
彼らが笑うと、歯はところどころ抜け落ちていて、隙間を作っているのが見えた。
それが気持ち悪さに拍車をかける。
だけど拒絶する私とは裏腹に、体はひと目につかない大木の下までずるずると引きずられていく……。