身分違いの恋

「いやよ、はなしてちょうだいっ!!」

 どんなに拒絶しても、周囲には悲壮感を漂わせた私の声しか木霊せず、誰も助けに来てくれる気配すらない。


 それでもなんとかこの場から逃れようと、必死に抵抗する中、二人のうちひとりが口を開いた。


「兄貴、この女、いったいどれくらいで売れるかなあ」



 必死の抵抗も空しく、私の顎を軽々と持ち上げた男性は顔を品定めをする。

 ――ああ、この人たちはやっぱり人さらいだったのね。


 彼らの言葉で理解した私は、金槌で頭を打たれたかのように動けなくなった。


 頭がひどく痛む。


 いいえ、それだけじゃない。カーティス様に捨てられたという悲しみを抱く胸だって……。



「プラチナブロンドなんて珍しいし、日に焼けていない綺麗な肌をしている。顔もなかなかの上玉だ。少々手はくたびれているが、きっと高く売れるぜ」


 ――苦しい。

 ――悲しい。


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