身分違いの恋
カーティス様。どうして私を捨てたの?
そんなに私が嫌いだった?
目障りだった?
私は夜の仕事を務めるほどの器量もなかったということ?
悲しみが悲しみを生み、さらに不幸の淵へと突き落とされる。
悲しみに打ちひしがれた私はもう抵抗することもできず、ただ体は人さらいに引きずられていく……。
そんな時だった。
「フィービー!!」
私の名を呼ぶ、聞き覚えのある声がどこからか耳に届いた。そうかと思えば、引きずられていく体は軽くなり、あたたかな何かに包まれた。
「何をしやがるっ!!」
人さらいの焦っている声が聞こえる。
「殺されたくなくば、ここから去れ。二度とわたしの前に現れるな」
私を包む彼はいつもよりずっと低い声でそう言った。
彼のその言葉ひとつで、人さらいたち二人は尻尾を巻いてあっけなく逃げていった。