身分違いの恋

「フィービー、待て!!」


「どうかお離しください。カーティス様のお召し物が汚れてしまいます」

 お願い、私を想ってもいないのに、そんなに優しくしないで!!


 自分は嫌われている。そう思い知れば思い知るほど、胸の痛みは増す。

 目頭は熱を帯び、そうしてとうとう涙が零れた。

 次から次へと零れた涙が頬を伝う。


 ああ、もう限界だ。

 この胸の内を隠すことなんて出来ない。


「愚かな私が悪いのです。たとえ夜のお慰めであっても、カーティス様になら私の何もかもを差し出せると思っていました……。ですが実際は違いました。カーティス様は私を求めておいでではなかった」


 それはつまり、私には何の魅力もないということ。

 嫌われていたということ……。


 惨めな気持ちでいっぱいになって泣きじゃくる私を、カーティス様は抱きしめる。

 その優しさが苦しい。

 涙が止まらない。


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