身分違いの恋
「フィービー、ああ、まさか。そんな……違うんだ。話を聞いてくれ」
だけどその悲しみは長くは続かなかった。
薄い唇を開き、私に口を挟む隙を与えなかったからだ。
「フィービー、わたしが君を叔母上のところへやろうと思ったのは、けっして嫌っているからじゃない。君は勉学に興味を持っていた。わたしが帳簿の算出をしているのをいつも楽しそうに見ていただろう? 君にはもっと素敵な場所があると思ったんだ。それに養女の件は叔母上からの提案で、わたしは君を手放したくはなかった」
「え?」
「わたしは君を愛している。だが、君の幸せを願うなら、わたしなどの使用人に成り下がるよりもずっといいと思ったんだ」
それはどういうこと?
私を嫌っているから追い出したのではないということ?
「……うそ。だって、カーティス様は夜のお相手を命じられたことはありませんでした。それはつまり、わたしには……」