身分違いの恋
「好いた女性を権力で抱いてどうしろというんだ。君を大切にしたかった。――だが結局のところは君を傷つけてしまった……」
カーティス様は私が邪魔で追い出したんじゃない?
頭の整理が追い着かない。
「では、あの噂は?」
「噂? いったい何のことだ?」
「カーティス様は近々身を固めると……」
「フィービー、噂なんてこの社交界で無かったためしがあったかい? そしてどれも信憑性はほとんどないということも……まあ、愛している人がいるというのはあながち間違いでもないのだが……」
カーティス様は、自嘲気味に笑ったあと、真剣な面持ちで私と向き合った。
驚きが先立って、頬を伝う涙はもう止まっている。
「フィービー、愛しているんだ」
迷いもなく、彼が告げる。
「今からでも間に合うのなら、わたしの側にいてくれないか? よければ、君が許す限りの時間をずっと――……」