身分違いの恋

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 月の薄明かりが寝室を照らす。

 叔母様に養女の一件で手紙を書き終えたカーティス様は今、私と共に寝室にいる。


 彼は天蓋付きのベッドに座る私の前に跪く。



「愛おしいフィービー」

 今日でいったい何度目になるのだろう。彼は薄い唇を開き、私に愛を告げた。



 私の左の手が骨張った大きな手に掬い取られる。

 目の前で跪く彼の姿に釘付けになった私の体は自分のものではないみたいに動けない。


 触れた手から全身へと熱が灯る。



 手の甲に口づけが落とされた。



 私たちの間にもう言葉はない。長い間、共に過ごした私たちに必要なのはけっして言葉ばかりではないからだ。

 使用人たち皆が寝静まった静かな夜。私たちは情熱的に、ただ互いの瞳の奥に宿る炎を見つめ合った。






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アリとキリギリス~
身分違いの恋。END
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