身分違いの恋

 私、フィービー・ランベロウは、遠い昔からシードルフ家にお仕えしている家柄だった。


 私の主な仕事内容はといえば、この屋敷の主になられたカーティス・シードルフ様の身の回りのお世話。


 そして先ほどカーティス様がおっしゃられた、私が部屋を閉めない理由も、仕事のうちだった。

 カーティス様の夜伽の相手。

 それも私の仕事内容だったからだ。


 だけど実際は、私がシードルフ家に仕えるようになってからのこの数十年。カーティス様に夜の仕事を命じられたことはない。



『扉を閉めて寝ろ』



 カーティス様のお言葉はつまり、『今日も夜の仕事をしなくとも良い』そういう意味だ。


 以前の私なら、何も知らない男性に夜の仕事を命じられるのは怖かった。


 だけど今は違う。


 そう思えるようになったのは、すべてカーティス様のせいだ。

 カーティス様はとても凛々しくておいでだ。


< 2 / 20 >

この作品をシェア

pagetop