身分違いの恋
すらりとした長い手足に、余計な筋肉のないたくましい体。
腰まである長くうねる黒髪は艶やかで、一重の射貫くようなエメラルドの瞳は深い海のよう。
それだけではない。高い鼻梁の下にある薄い唇。尖った顎。すべてが美しい。
――そう。私はカーティス様に恋をしている。
だけれど、カーティス様は違う。
彼は私の事を、ただの使用人としか見ていない。
でも私はそれで良かった。
カーティス様と想いが通じ合えるなんて思ってもいなかったし、彼の――好きな人のお側にいられるだけで、それでいいと思っていた。
けれど、人の世は残酷だ。
彼は私のことを、ただの使用人とさえも思っていなかったのだ。
そのことがわかったのは、それから三日後のこと――。
私はその日もカーティス様のお体を考えた食事の献立を考えたり、屋敷中の掃除をしたりして、いつものように仕事をしていた。