身分違いの恋

 カーティス様だからこそ、私はこれまでずっとお仕えしてきたし、これからも、どんなに辛くても生きていこうと思えたのに……。




「カーティス様は、私がお嫌いですか?」



 もしかすると、カーティス様は私を煩わしいと思っているのかもしれない。

 私はふと頭に過ぎった疑問を唇に乗せ、カーティス様に訊(たず)ねた。


 だけどお優しいカーティス様は、案の定とも言うべきか、私を傷つけることは言わない。

 カーティス様は静かに首を振った。


「そうじゃない。フィービー、君は女性にしておくには惜しいくらい、とても頭が良い。わたしに仕えるよりもずっと幸せな道があると思うんだ」


 それはきっとカーティス様なりのお心遣い。


 そうよ、カーティス様はいつだってお優しい。何か不手際をやらかした時も、けっしてお小言さえ言わないお方だ。


 夜のお仕事だって命じられたことがない――。


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