身分違いの恋

「……わかり、ました。すぐに用意いたします」


 できることなら捨てないでと、カーティス様にすがりつきたい。

 だけど所詮、私は数いるカーティス様の召使いのひとりにすぎない。



 ……ああ、目頭が熱い。

 胸は引き裂かれそうに痛むわ。


 だけどカーティス様の前では泣けない。

 そんなことをすれば、私の気持ちが知られてしまう。


 これ以上、自分が惨めになるのはいやだもの。

 私は込み上げてくる涙を堪え、大きく頷(うなず)いた。


< 7 / 20 >

この作品をシェア

pagetop