幸せのかけら
"ーー素直なとこ"
"それだけ?"
"こんなこと聞いてどうするんだよ。
誰も得にもなんねぇ"
"匠さー、響の彼女のこと知ってるんだろ?"
"普通に話すけど"
"どんな子なんだよ?"
……匠、変なこというなよ。
そんな思いをこめながら睨むと、ちょっと困った笑みを浮かべた。
"響の前で話しづらい"
"何でもいいからさ。
第一印象とか!!"
"……笑顔が多い子かな。
響のこと好きなのもひしひしと伝わるし、芯の強いイメージ"
初めて聞く匠の話に、少し照れてしまう。
と同時に、もやもやした感情が生まれた。
"愛されてんのなー、響。
そりゃ1年続くか"
"別にそういうわけじゃ…"
"だって不満とかもないんだろ?"
"まぁ、特には。
これ以上は勘弁してくれ。
愛のいいとこなんて、他の奴は知らなくていいんだよ"
……そうだ、嫉妬だ。
この感情の正体が分かると、凄くスッキリした。
"やべー、惚れそう"
"は?
やめろ、気持ち悪い"
"だってそれだけ彼女が好きってことだろ?"
ーーそいつの言葉が、スーっと胸に入っていった。