幸せのかけら
ーーー卒業式はあっという間に終わり、体育館を出るとたくさんの人。
研究室に戻る前にお母さんと合流。
"ーーー見てみて、どう?"
"似合ってる。
愛は小さいから、やっぱり大きい花柄で正解"
"……ひとこと余計"
親友みたいな母。
何でも話せて、仲は良い方だと思う。
写真撮ろうと卒業式の看板があるところへ。
誰かにシャッター押してもらおうとすると、響が近くにいて声をかけた。
"響、写真撮って"
"おー。
あ、お久しぶりです"
隣にいたお母さんに気づき、お前親がいるなら言えよ的な視線を感じたけどスルーしてみる。
家まで送ってもらったときに何度か会っているので面識はある。
私もよく響のこと話したりするし。
待ってる人もいるので、写真を撮ってもらいはしっこに避ける。
"写真ありがとー"
"どういたしまして"
"黒崎くん、卒業おめでとう。
旅行のおみやげありがとうね"
"いえ。こちらこそいつもありがとうございます"
"…やっぱり男の人のスーツはカッコいいわね。
せっかくだし3人で撮りましょ。
お父さんに自慢しなきゃ"
記念に写真を撮り、お母さんは凄く楽しそう。
隣で少し緊張した顔をしてる響の姿も貴重だ。
"愛ったら、ずっとヨーロッパ旅行の話するのよ。
よっぽど楽しかったみたい。
こんな子で良ければ、これからもよろしくね"
"ちょっとお母さん。
そんなこと言わなくても……"
恥ずかしいとあたふたしてると。
"ーーー僕の方が必死なんです。
あの、今度愛さんの家に伺うときは
改めてちゃんとご挨拶させてもらいたいと思ってるので……
こちらこそよろしくお願いします"
響の言葉に、私もお母さんもすぐ言葉が出なかった。
それってーーーーーー
"そう。
……………私たちも覚悟をしないといけないのね。
今度はお父さんもいるときに遊びにきてね"