幸せのかけら
"響、どこ行くの?"
"俺の親のとこ"
"………え!"
お母さんと分かれ、ちょっと来てと響に連行中。
"ーーー愛だって会わせたんだから。
俺の親とも会って"
"会ったことないのに"
"だからだろ"
さっきの仕返しなんだろうか。
"待って待って、心の準備が…………"
"ーーー愛"
いきなり止まり、こっちを見る。
"ーーーーーー俺たち、ずっと一緒にいるんだろ?"
それは私の夢で。
響との約束。
でも親に挨拶ってなると現実味が増す。
"うん。
ーーー響と一緒にいたい。
私の親、次来るときは結婚の挨拶だと思ってるよ?"
"そのつもりだけど"
当たり前だろと言う響に思わずしがみつく。
"………好き"
"俺も"
"ちゃんと言ってよ"
"ーーー旅行のときに、だいぶ伝えたと思うけど
まだ足りない?"
いじわる。
しがみついてたので、離れようとすると
"………愛してるよ"
耳に軽くキス。
"ーーーーーーそのときはちゃんと言うから。
それまで俺のそばで待ってて"
ーーーーーー響の言葉に、涙が出そう。
ここが大学じゃなかったら、もっともっと甘えたかった。
"ーーー響のお母さんに会うの楽しみ"
"今日はお父さんもいる"
"……余計緊張が"
手を引かれながら歩くと、響に言われる前にすぐわかった。
ーーーーーー響、お父さん似なんだ。