幸せのかけら
"ーーー響、どうしたの。
もしかして…愛さん?"
手繋いでるから気づくよね。
"あー、そう。
会わせたいと思って"
"初めてまして。
響さんとお付き合いさせてもらってます、山中愛です。
ご挨拶が遅くなってすみません"
噛まずに言えてホッとする。
わざわざ帰る前に呼び止めたみたい。
"ーーー響からいつも話は聞いてたのよ。
女の子はいいわねえ……振り袖素敵よ"
"ありがとうございます"
お母さんはとてもフレンドリーな方で、次々質問してくれる。
"響冷たくない?"
"そんな、全然。
優しいですよ。
あの、旅行のおみやげありがとうございました。
家族で美味しく頂きました"
"いいのよ。
こちらもいつも頂いてるし。
ヨーロッパのお土産も選んでくれてありがとう。
響はセンスないから"
"センスなくて悪かったな"
少しずつ緊張も解けて、会えて良かったと思った。
響のお父さんも優しく相づちして話を聞いてくれてる。
響が私の親に伝えてくれたように、私も伝えたいと気合いを入れた。
"ーーーーーー響のお父さん、お母さん。
私にとって、響さんはとても大切な人です。
今までも、これからもーーーそばにいたいと思っています"
よく言えました、と響に頭ポンポンされ
お互い笑顔になる。
"ーーー響がこんな風に笑うなんて。
今日来て良かった。
ね、お父さん"
"ーーーーーー愛さん"
初めて口を開いたお父さんに、私はまた緊張がはしる。