幸せのかけら





"ーーーーーーいつでも来なさい。
楽しみにしてるよ"



優しくて温かくて力強い声。



"ーーーーーーごめんなさいね、この人ちょっと無口なのよ。
きっと愛さんが綺麗だから照れてるのよ"

"………ああ"



"いや父さん、それ俺が複雑だわ"








ーーーーーーあたたかい響の家族。

少し触れられた気がして、嬉しくなった。

車で来たとのことなので、そこまでお見送りすることに。







"ね、愛さん"

"はい"

"いつか、響にうちの柔軟剤の話した?"



ーーーふわっと響から香る同じにおいがした。





"この香りが好きだってーー"

"やっぱり愛さんだったのね。
今ね、うちの物置
この柔軟剤がたくさんあるのよ"


"え?"



"実は期間限定のモノでね。
響からこれがいいから、あるだけ買ってくれって。
普段こういうの気にしないのにおかしいなと思っていたのよ"






ーーーーーー日常のさりげない会話だったのに

響はそれを覚えてくれていて、こうやってーーー












"ーーーーーー惚れ直しちゃった?"


"はい"


"ふふ、あんな息子だけどよろしくね"











ーーーーーーお互いの親に挨拶できて、貴重な時間だった。


研究室メンバーとの時間を過ごし、響との待ち合わせ。


駆け寄った勢いのまま、抱きつき、

周りに人がいないのを確認して、

ありったけの想いを込めてキスをした。










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