幸せのかけら
"………もしもし?"
"俺。
今時間大丈夫?"
"うん。
どうしたの?
めずらしいね、こんな時間に"
あーいう話をしてたからか、愛の声が聞きたくなった。
これも、全部
あいつらの性だ。
"愛、今なにしてんの?"
"んー、今度結<ユイ>とご飯行くから、良いお店ないか調べてた"
"……相変わらず仲良しだな"
結っていうのは、愛の友達で同じ研究室に所属してる。
真っ先に愛のこと好きなのがバレて、俺としてはちょっと苦手な奴だ。
いろいろ見透かされてそうで怖いんだよな。
"響、やきもち?"
"女にやいてどーすんだよ"
クスクス笑う声でさえも心地よい。
しっかり耳に馴染んでることを実感する。
ーーーそれだけ彼女が好きってことだろ?
そんなの言われなくたって……
誰より、自分自身が知ってる。
"………愛"