幸せのかけら



"………もしもし?"




"俺。
今時間大丈夫?"



"うん。
どうしたの?
めずらしいね、こんな時間に"







あーいう話をしてたからか、愛の声が聞きたくなった。

これも、全部
あいつらの性だ。






"愛、今なにしてんの?"


"んー、今度結<ユイ>とご飯行くから、良いお店ないか調べてた"


"……相変わらず仲良しだな"




結っていうのは、愛の友達で同じ研究室に所属してる。

真っ先に愛のこと好きなのがバレて、俺としてはちょっと苦手な奴だ。

いろいろ見透かされてそうで怖いんだよな。






"響、やきもち?"


"女にやいてどーすんだよ"




クスクス笑う声でさえも心地よい。

しっかり耳に馴染んでることを実感する。








ーーーそれだけ彼女が好きってことだろ?




そんなの言われなくたって……
誰より、自分自身が知ってる。






"………愛"






< 12 / 160 >

この作品をシェア

pagetop