幸せのかけら
"ーーーーー緊張する"
"そう?
ほぼ実家のを持ってきたから、俺はあんま違和感ないけど。
愛がいるの不思議な感じする"
"響の匂いする"
"引っ越し前にシーツとか全部洗ったから、柔軟剤の匂いか?"
後ろから抱き締められ、匂いが濃くなった気がした。
"愛、こっち向いて"
顔だけ振り返ると、啄むようなキス。
"ーーーーーーこれからは、こういうこともできる"
目の色が濃い気が……
濃密な雰囲気になり、このまま流されてしまいそう。
"ーーーまだ、昼間だよ"
"カーテン閉めればいいだろ?"
"来たばっかりだよ。
まだ座ってもないし、片付けも…"
ーーー急な甘々な響に戸惑ってしまう。
"きょ、響?
どうしたの?"
"……ひとり暮らしで、いろいろ自由にできて、浮かれてるのかも。
こうやって周り気にせず、しかも俺の空間で、愛とくっつけるし。
この時間もう少し堪能させて"
ーーーーーーそんな言葉、何も抵抗できなくなる。
最後に触れ合ったのは卒業旅行のとき。
最近はご飯を食べて解散だった。
"ーーー愛に触れたい。
この部屋、愛の香りでいっぱいにして"
甘い囁きに、心は奪われ、
響のキスに酔いしれた。